研究概要 |
広島大学放射光科学研究センターの真空紫外円二色性(VUVCD)分散計を用い,多糖類や変性タンパク質のVUVCDスペクトルを測定し、VUVCD分光法の生体分子構造解析への有用性を検討した。 硫酸基やカルボキシル基を持つ6種類の多糖類(コンドロイチン・コンドロイチン硫酸(A, B, C)・ヒアルロン酸・ヘパリン)のVUVCDスペクトルを160nmまで行い、これら発色団の位置や配向に依存した特徴的なCDを得ることができた。また、分光学的解析法からCDと多糖類の立体構造との関係を明らかにすると共に、単糖類と同様に多糖類においてもC-5位のヒドロキシメチル基の平衡状態(トランス・ゴーシュ)の変化が、CDに大きく寄与していることが分かった。 3種類のタンパク質(Metmyoglobin・thioredoxin・staphylococcal nuclease)の酸・熱・低温変性状態のVUVCDスペクトルを172nmまで測定し、塩酸グアニジン変性状態との比較からこれら変性状態においても多くの二次構造が保持されていることが分かった。31種類の天然タンパク質のVUVCDスペクトルを参照データとし、プログラムSELCON3で二次構造解析をした結果、天然状態に比べHelixは減少、Strand・PPII・Unorderedは増加することが確認された。また、これらの変性状態には、水素結合を持たないStrand構造が多く存在していることが明らかとなった。 以上の結果から、VUVCD分光法が、生体分子の構造解析に対して有効であることが示された。
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