研究課題
若手研究(B)
昨年に引き続き、高速ADコンバータとラピッドスキャンシステムを組み合わせたテラヘルツ波ポンププローブ分光システムの改良に努めると共に実際に光誘起絶縁体金属転移のテラヘルツ波ポンププローブ分光測定を行った。二酸化バナジウムは,以前パウダーと単結晶において測定を行ったが、これらの試料はレーザー照射によりクラックが入ることが多く、安定した測定が困難であった。そこでサファイア基板上に作製した二酸化バナジウム薄膜で測定を行った。これにより安定した測定が可能になり、またレーザー照射による熱の蓄積も見られなくなった。励起波長は800nmで、室温にて、光励起テラヘルツ波検出の過渡吸収測定を行った。励起直後に急峻に透過率が減少し、その後100ps程度までしだいに透過率が減少するという2段的な透過率の減少が観測された。また励起強度を上げるにつれて、変化量が大きくなる閾値的な振る舞いも観測された。これらの結果については、Applied Physics Lettersで報告した。また励起強度を上げるにつれて、緩和時間が遅くなる現象も見いだされている。今回観測された振る舞いは、電気伝導度の増加(金属相の出現)を反映したものであるが、X線散乱や電子散乱での時間分解測定の結果(A. Cavalleri, et. al.やP.Baum, et. al.)と非常に似ており、電気伝導度の変化と格子構造の変化が同じ時間スケールで変化することを示しており興味深い。擬一次元臭素架橋ニッケル錯体では、光照射後瞬時にテラヘルツ帯の透過率が減少し、その後数ピコ秒で緩和する。また緩和時間が数100ps以上の遅い緩和成分があることも観測されている。またテラヘルツ帯のスペクトル情報より励起直後は金属状態に変化している(基底状態は絶縁体)ことが分かった。
すべて 2008 2007 2006
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (14件)
Applied Physics Letters 92
ページ: 119071-3
Journal of Luminescence 128
ページ: 1087-1089
Journal of Physical Chemistry C 111
ページ: 12973-12979
Physical Review B 76
ページ: 1151221-10
Physica Status Solidi (c) 3
ページ: 3527-3530
Physical Review B 73
The Journal of Chemical Physics 124
Journal of the Physical Society of Japan 75
110004729284
ページ: 3452-3455
ページ: 3404-3407