研究概要 |
本研究では,MQL切削において油剤使用量のさらなる削減のために,オイルミストの流れを制御することにより加工点へ効率よく切削油剤を供給する手法を検討している.その手法として,切削試験による検討に加え,加工域近傍の流れ場を数値流体解析により把握し的確に工具刃先へ油剤を供給する方法を検討している.本年度は難削材であるインコネル718の旋削における仕上げ加工を対象としてMQL切削試験ならびに解析を実施し,以下に示す成果を得た. 1.数値流体解析により,MQL切削におけるオイルミストの流れを解析し、オイルミストの刃先到達量を定量的に評価するモデルを提案した.旋削加工における刃先近傍のオイルミストの流れをオイルミストの噴射位置ならびに噴射角度を変化させて解析し,刃先近傍の流れ場,圧力場,渦度場を求めた.解析結果より工具の前逃げ面側から的確にオイルミストを噴射することで,刃先へ送り込まれるオイル量が増大することが予測できた. 2.インコネルの外形旋削に関して,市販のオイルホール付きバイトならびにオイルミストを的確に刃先に供給するために.市販のバイトを改良し,オイルミストの噴射位置ならびに噴射角度を変化させて摩耗試験により工具寿命を評価した.また,結果,前逃げ面側から45度の角度で刃先に向かってオイルミストを噴射させることで,刃先に効率良くオイルミストが到達し,油剤供給量が1ml/h以下の非常に少ない量の場合でも工具摩耗抑制効果が保たれることが分かった.この結果は,数値流体解析により予測した結果と一致した.これより,実験の傾向を解析によって予測できることが可能であることがわかった.
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