研究概要 |
1.マグネシウム合金の冷間塑性加工における割れ発生メ力ニズムの提案および検証 平成18年度に実施した冷間塑性加工実験結果と有限要素解析結果を用いて,Mg合金の冷間鍛造における割れ発生メカニズムを塑性力学理論に基づき考察した.Mg合金の冷間鍛造では局部的に大きなひずみを受けても割れは発生せず,ある破壊ひずみ値を超えるひずみを受ける領域が拡大すると割れが発生することが実験で確かめられたため,Mg合金の冷間鍛造用の新延性破壊条件式として,「破壊ひずみ領域体積率」で整理する手法を考案した.考案した新延性破壊条件式の適用範囲を調べるため,工具形状,加工速度等の塑性加工条件を変化させて実験を行い,新延性破壊条件式に対する加工圧力,加工速度,加工温度等のパラメータの依存性について調べた.考案した新延性破壊条件式は従来の延性破壊条件式と比較してMg合金の割れ発生予測精度を向上させた. 2.Mg合金の冷間塑性加工プロセスの開発 Mg合金の冷間塑性加工の実用化を目指して,1で得られた基礎実験データ,提案した新延性破壊条件式を組合わせて,市販マグネシウム合金AZ31Bの冷間塑性加工プロセスの開発を行った.1の実験結果より,Mg合金の冷間鍛造では深細穴形状の鍛造が可能と判断して,深細穴鍛造をモデルとして有限要素解析を行い,提案する新延性破壊条件式を適用して,Mg合金試験片の割れ発生を予測した.割れ発生予測に基づいて,Mg合金試験片に割れが生じない加工モーション,背圧付加量の適切な加工条件を有限要素解析により導出した.有限要素解析で導出された加工条件について,加工速度,加工モーションの任意制御可能なACサーボプレス,油圧二軸サーボプレスを使用して実験を行った.
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