研究概要 |
液-液体金属二層流れは,地球物理学におけるコアーマントル境界の問題からシリコン単結晶生産における品質管理まで,幅広い分野に関係する現象である.それらの問題を解決するため主に以下に示す4つのテーマで事件研究を遂行し,それぞれ結果を得た. (1)液体金属内熱対流と磁場による制御 複数線での超音波流速分布計測(UVP)により、液体ガリウム中に形成される対流セルの3次元運動を調べた.また、得られた速度分布変動と、サーミスタによる温度計測結果の周波数解析を行い、時間変動のスケールを明らかにした.さらに,ヘルムホルツコイルにより形成された一様磁場による制御に取り組み,対流中に現れる短い時間スケールの変動を抑制すると共に,対流セルの上記のサイズを変化させることに成功した. (2)液体金属のスピンアップにおける過渡的な流れを用いた実効粘性と透磁率の測定 一様磁場中に置かれた円筒に液体金属を満たし回転させ、スピンアップ時の過渡的な変動磁場と速度分布変化を計測した.この結果から液体金属の磁場中における実効粘性と透磁率を求めた.計測はおもにフランス、非平衡現象研究所(IRPHE)で行った. (3)自由界面を有する回転流れの表面形状Switching現象 この現象に関して,流れを理解するための実験研究を行い,それを制御するための知見を得た.また液体金属は粘性の効果が小さく乱れやすいが,表面張力が大きく界面変形が抑制されるため,この系では逆に流れが安定化することが分かった. (4)回転ならびに熱対流系における液-液体金属二層流れ 液-液体金属二層流れについて,超音波と画像を用いた実験研究を行い,各層間でのカップリング現象に関する知見を得た.さらに,液体金属の表面処理を行わない場合には,酸化膜が運動量の伝達を妨げ,いくら液体金属層に運動量を与えても,上部の層は平穏であることを示した.
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