研究課題
若手研究(B)
本年度は分子動力学を用いた解析およびそれに基づいた接触角と接触線速度の関係を表すミクロ理論モデルの提案を行った。また、粒子画像流速測定(PIV)法を利用した可視化実験を行い、接触線近傍の流れ場の測定を行った。接触線近傍の速度分布は過去にHuh(1971)により理論的に求められているが、これを分子スケールに適用することにより、接触線の移動速度とミクロ接触角とを理論的に関連付けるモデルを提案した。このモデルではHuhの理論より求められる接触線近傍の速度分布を用いて壁面-流体間滑りによる摩擦力および流体内せん断力、圧力を求め、それらとQian(2003)が提案した接触線近傍のミクロ応力バランスとを組み合わせることにより接触角を求めるものである。分子動力学で得られた接触角と上記モデルで得られた値とはよく一致した。また、壁面近くの流体と壁面との相互作用が強く、壁面近傍の流体が結晶構造をなしている場合でも上記モデルは適用可能であることも示された。また、可視化実験では、水を用いた結果がHuhの理論モデルと一致しないことの原因を明らかにするため、表面張力の異なるさまざまな流体を用いて実験を行った。その結果、シリコンオイルを用いた実験はHuhの理論とよく一致した値を得た。一方、エチレングリコール及びジメチルスルホキシドを用いた実験は両者とも表面張力は水よりもかなり小さいにもかかわらず、Huhのモデルによる評価とは一致せず、水と同じ傾向を示した。この理由として、これら2流体はどちらも極性分子からなっており、ごく微量の界面活性効果を持つ不純物に起因するマランゴニカによって界面せん断が発生することによってHuhの理論値からずれた値を示すことが明らかになった。
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