研究概要 |
壁面極近傍における速度分布測定に関連して壁面垂直方向の分解能を大幅に改善した。また,ブラウン運動や粒子密度分布に及ぼすトレーサ粒子径の影響を詳細に明らかにした。さらに,蛍光粒子の壁面からの距離の検定実験装置を改良しその再現性を向上させた。以下にまとめられる本年度の結果から,壁面近傍の速度分布の分解能を向上させるために必要な基礎データが得られたと考えられる。 (1)粒子輝度と粒子位置の関係・・・従来の実験で用いた直径100nmの蛍光粒子の5分の1の粒子(20nm)で粒子位置測定実験を行った。粒子径が小さい場合,大きい径の粒子と比較して,粒子位置の変化に対する輝度変化が非常に小さいことが分かった。このことから粒子径を小さくして壁面に垂直方向の測定分解能を向上させる場合には,輝度を増幅させるだけでなくカメラ測の輝度の分解能を上げなければならないことが分かった。 (2)壁面近傍粒子の密度分布・・・粒子径を三種類(200,100,20nm)変えて,壁面からの粒子密度分布の状態を測定した。粒子径200および100nmでは壁面近傍で粒子密度が高い領域が存在するが,20nmでは明確な密度の分布が存在しないことが明らかになった。 (3)壁面近傍ブラウン運動…本実験で用いた三種類の粒子径で,壁面に平行な方向のブラウン運動に違いは見られなかった。一方,壁面に垂直方向のブラウン運動は,壁面から遠ざかる方向に増加し,近づく方向に減少した。この傾向は粒子径の減少とともに顕著になった。
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