研究概要 |
我が国では高齢化社会を迎え,脳卒中などによる手指の運動機能障害者が多くなりつつある。この機能回復のためにリハビリテーションを実施するセラピストの人数が患者に比べて不足している。このような社会的ニーズを背景に,本研究ではこれまでに開発した人間型ロボットハンドを利用し,次の2点の研究課題の実現を目指す。1.ロボットハンドで患者の手指の拘縮度合を模擬するシステムを構築し,セラピストのリハビリテーション処方の習得を行う。2.患者を模擬したロボットハンドと患者に装着する手指リハビリテーション支援システムで構成される患者訓練用リハビリテーションシステムを確立する。本年度は,課題2の実現を目指して次の3点について研究成果を得た。(1)セラピスト側に患者を模擬したロボットハンドを配置し,遠隔地から患者側の手指リハビリ支援システムにリハビリテーション運動が教示可能なシステムを構築した。また,遠隔地の手指の状態が視認可能なモニタシステムも併せて構築した。(2)ユニラテラル制御手法およびバイラテラル制御手法を(1)で構築した遠隔システムに適応して実験によりその有効性を検証した。(3)研究室内のローカルなインターネット環境にて構築したシステムの検証実験を行った。さらに,構築したシステムの有効性を健康者にて確認した。なお,これらの研究課題に医学的な見地を盛り込むため,岐阜大学医学部の医師やセラピストより助言を得てこれらの研究を実施した。
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