研究概要 |
我々は,高感度,広測定範囲,耐圧性,柔軟性,セルフセンシング機能を有し,小型,かつ低コストな圧電振動型触覚センサを提案した.本触覚センサを集積化すれば,実用的なヒューマノイドロボット用触覚センサとして活用されると考えられる.さらに,本触覚センサは高感度かつ広測定範囲であるので,物体把持へ応用すれば,人と同等レベルの機能(高感度を活かしたソフトな把持や広測定範囲を活かした重い物体の把持)を実現できると考えられる.それゆえ,本研究では,圧電振動型触覚センサの集積化と物体把持への応用を行った. まず,集積化圧電振動型触覚センサの製作プロセスを提案した.次に,設計,製作を行い,6×30×30mm中に0.5×2.8×4.8mmのセンサ素子を40個集積した.次に,実験,評価を行った.その結果,1次モードでは0.2kPa,4次モードでは50kPaの圧力に反応し,高感度かっ広測定範囲が実現されていることがわかった.また,複数の振動モードの入力を並列に印加することにより,入力周波数の切替なしでも高感度かつ広測定範囲を実現した. 次に,本触覚センサが高感度かっ広測定範囲であり,かつ,人工皮膚の変形を認識できることに着目した物体把持手法を提案した.そして,その有用性を確認するために,触覚センサ付きグリッパを設計,製作し,実験,評価を行った.その結果,同じ設定条件でも,卵やビール瓶等の様々な物体の把持に成功した.また,設定条件を調節することにより,高速な把持とソフトな把持も実現した.これらの結果より,本手法は,人が摘んで持つものはほとんど全て把持可能であり,かつ,適切な力で把持することも可能であるため,非常に有用であると考えられる.
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