研究概要 |
昨年度から行っていた,2本指筋骨格冗長モデルによる,物体の動的安定把持に関する研究について,物体の安定把持および位置・姿勢の制御を行う制御則を提案し,多様体上の安定論を用いることで,これらの収束性の証明を行った.これらの内容は,日本ロボット学会誌に掲載された. また,柔軟指先を有する拇指ロボットモデルによるブラインドタッチについて,昨年度においてモデル化を行っていた3次元柔軟回転接触拘束モデルを,より一般的な表現にすることで,拡張性を向上させた.また,これまでのPTPによる接触力・位置の同時制御だけでなく,目標が時間軌道として与えられた場合について,指先が柔軟で,かつ非ホロノミックな3次元回転拘束の存在下においても,作業空間における繰返し学習制御を導入することにより,作業平面と指先接触面における接触力・位置の同時軌道追従が行えることを示した.これらの結果は第25回日本ロポット学会学術講演会で発表し,また,ICRA2008においてAcceptとなっている. さらに,これまでの栂指ロボット1本に加えて,2本の対向指を加えた3本指による物体の動的把持のモデル化を行い,シミュレーションによってその有効性を確認した.3本目の指を導入することにより,対向軸回りで生じるスピニングを抑えることができ,かつ,物体の位置制御について,2本指で行った場合と比較して,安定領域が広くなり,よりロバストな制御が行えることを確認した. さらに,根元関節をサドルジョイントとした,5自由度拇指ロボットの実験機を製作し,これまで提案してきた制御則の有効性を実験で確認するべく,そのシステム構築を行った.
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