研究概要 |
風力発電システムはブレード,ナセル,タワー等から構成されている。近年,軽量化のため,GFRP(Glass Fiber Reinforced Plastics)製のブレード,鉄の格子とその周囲をGFRPで覆った形状のナセルが多くなっている。ブレードやナセルに落ちた雷撃電流は,ナセルを構成する鉄格子,タワーを経由して大地に流出する。その際,ナセル周辺を流れる雷電流により,ナセル内部に比較的大きな過渡磁界が発生し,これが原因でナセル内部に設置された通信・制御機器が故障・誤動作する可能性があると考えられている。 18年度は,数値電磁界解析手法の一手法であるFDTD法を用いてナセル内部に発生する過渡磁界の挙動について調査した。その結果,ブレード先端から雷電流が侵入した場合でも,ナセル後方から雷電流が侵入した場合でも,ブレード上の避雷導線を流れる雷電流により,ナセル内前方に比較的大きな過渡磁界が発生することが明らかとなった。また,ナセル前方に導対板を設置することで,ナセル内前方の過渡磁界を低減できることを明らかとした。19年度は,解析で確認された上記の現象を,縮小モデルを用いた実験により確認した。解析結果と実験結果の誤差は最大でも10%程度で良好に一致した。これにより,FDTD法を用いた電磁界解析により,あらゆる形状の風車における検討が可能となった。
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