研究課題/領域番号 |
18760227
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
三浦 良雄 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (10361198)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2007年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2006年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 結晶成長 / 表面・界面物性 / 計算物理 / 半導体物理 / スピンエレクトロニクス / 表面・界面物理 / 第一原理計算 / デバイス作製プロセス / 電気伝導計算 |
研究概要 |
近年、磁気トンネル接合(MTJ)の微細化に伴う磁化の熱揺らぎ耐性の向上にむけて、従来の面内磁化膜を用いたMTJ素子ではなく垂直磁化膜を用いたMTJ素子の検討が進められている。そこで、本研究では大きな一軸結晶磁気異方性をもつL1_0型FePt合金を強磁性電極層に用いたMTJの有用性を検証するため、第一原理計算による電子状態計算および電気伝導計算を行った。絶縁体障壁層には△_1の対称性(z軸周りの回転に対して全対称)を有する電子を優先的に透過させる単結晶Mg0を用いた。 Fe/Mg0/Fe(001)系のMTJでは、bcc構造のFeが多数スピン状態にのみ△_1バンドが存在することに起因して、高いトンネル磁気抵抗比(TMR比)が室温で得られている。L1_0型FePtはそのバルクにおいて、多数スピン状態・少数スピン状態ともにフェルミ準位付近に△_1バンドが存在するため、FePtを電極層にMg0を障壁層に用いた場合は高いTMR比は得られないことが予想される。しかしながら、Fe終端MTJでは300%を越える大きなTMR比が得られることがわかった。一方、Pt終端MTJでは70%程度のTMR比となり、FePt/Mg0/FePt(001)MTJのTMR比には大きな終端面依存性があることが明らかになった。これはL1_0型FePtにおいて、多数スピン状態の△_1バンドは主にFe原子・Pt原子のpz軌道からなるが少数スピン状態の△_1バンドは主にFe原子・Pt原子のd_<z2>軌道からなる、という△_1バンドの軌道成分の違いがあることに起因している。以上の結果より本研究では、「FePt/Mg0/FePt(001)のMTJにおいてFe終端面を形成することにより高いTMR比が得られる」、というデバイス作製プロセスの提案を行った。この提案は今後の垂直磁化膜を用いたMTJ素子の実現に向けて重要な指針となることが期待できる。
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