研究概要 |
IV族混晶半導体の高能率形成を行うため,各種の固体原料(Si, Ge,グラファイト, Sic焼結体)を大気圧水素プラズマ(100Torr〜760Torr)に暴露することにより,固体原料との反応により生じる生成分子種を赤外吸収分光により調査した.その結果,Si原料においては,その主たる生成水素化物は,97%以上がモノシランである事が判明し,ジシラン等は検出下限以下であった.本装置により検出されるモノシランの量は,プラズマ中への投入電力の増大と共に減少する傾向が見られた.これは,生成されたモノシランが水素分子に比較してプラズマ中では非常に分解されやすく,投入電力の増大に伴って,プラズマ中での分解反応速度が上昇するため,FTIR吸収分光を行うガスセルまで到達できない事に起因すると考えられる. 一方,SiC焼結体を大気圧水素プラズマに曝露した場合,生成される水素化物は,モノシランとメタンからなることが分かった.Si-Cを結晶の単位ユニットとして持つ物質であるSiCにおいてもモノメチルシランなどを生成することなく,SiH_4およびCH_4のガス分子を生成してエッチング反応が進行する事が明らかとなった. さらに,グラファイト試料を用いた場合では,低投入電力の領域では,CH_4が主たる生成ガスであるが,投入電力を増大させることにより,C_2H_2(アセチレン)ガスの生成が確認された. 以上の,生成ガス種に対する知見をふまえて,グラファイトとシリコンの2種類の固体原料を同時に設置し,SiCの合成を試みた.その結果300℃の低基盤温度にて3C-SiC微結晶薄膜の形成に成功した.またn型SiC焼結ターゲットを用いてp型Si基板上へn型微結晶3C-SiC薄膜の形成を行い,その電流電圧特性を調べた.その結果良好な整流特性が得られた.
|