研究概要 |
本研究は,サプライチェーン計画問題に対する最適化手法の方法論と種々の変動に対する複数企業間のサプライチェーンにおける在庫管理手法に関する研究であり,研究実績および得られた知見は以下に示すとおりである. 1.複数企業を対象とした不確実需要に対するサプライチェーンの在庫管理手法を開発した.期が進行するとともに需要量が次第に確実になるという需要の不確実性を想定したサプライチェーン計画問題をモデル化し,需要の平均値と分散のみの惰報を用いて,次期の原料調達量と製品在庫量を決定する在庫管理方法を開発した.開発した手法により,複数企業間の生産計画問題を対象として,総利益と鞭効果の影響について検討した.その結果,鞭効果減少のための在庫管理方策は必ずしも,総利益の最大化に一致しないことを数値実験により明らかにした. 2.複数企業を対象としたサプライチェーン計画問題に対する分散型最適化手法を開発した.開発した手法は全ての企業間でコスト情報等を共有することなく,局所情報のみを利用して全体の準最適解が得られることを示した. 3.複数最適化モデルの同時最適化手法として,ラグランジュ緩和とカット生成を併用する分解法にもとづく最適化アルゴリズムを提案した.提案したアルゴリズムを生産スケジューリングと複数台搬送車の同時スケジューリング問題に適用し,その有効性を確認した.原料ヤードにおけるベルトコンベア搬送システムの計画問題に対しては,拡張ラグランジュ法を用いた分解法のアルゴリズムを提案し,需要変動に対する最適在庫量と搬送経路計画の同時最適化の有効性を確認した.
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