研究概要 |
島根県の特産であるシジミは,全て出荷前に手作業による選別がなされている.この選別作業の負担を軽減するために,不良シジミ貝を判別して自動選別する装置の開発が地域社会において期待されている.本研究では,シジミ貝をぶつけた際に発生する音を周波数分析することにより特徴ベクトルを抽出した後,データマイニング手法により不良シジミ貝を分類するシステムを構築する.具体的には,いくつかの分類手法について性能評価を行い,不良シジミ貝の分類に対して最も適した分類モデルを構築することを第一の目的とする.また,構築された分類モデルおよび操作しやすいユーザインタフェースを組み込んだ判定システムのプロトタイプを開発することを第二の目的とする. 本年度は,本研究の第二目的である「判定システムのプロトタイプの構築」に重点を置きつつ,分類手法としてサポートベクターマシン(SVM)についても性能評価を実施した.その結果,1)今回の対象データに対しては,昨年度に実装した多層ニューラルネットワーク(MLP)による手法が最も優れており約95%の判別精度が得られること,2)次いでSVM,k-最近傍識別法(k-NN),決定木学習の順で判別精度が高く,いずれの手法においても88%以上という比較的高い判別精度が得られること,などを確認することができた.また,上記の分類手法を組み込み,グラフィカル・ユーザインタフェースを備えた不良シジミ貝判別ソフトウェアのプロトタイプシステムを開発した.これらの成果をまとめた論文を日本知能情報ファジィ学会誌に投稿し,掲載決定となった.
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