研究概要 |
本年度は,昨年度構築した流体モニタリングシステムの機能向上の一環として,昨年度解析対象とした流路内オリフィス流れ場に対する計算アルゴリズムの最適化および実験データの活用方法についてはじめに検討を行った。具体的には,シミュレーション解析における乱流モデルの導入,流体モニタリングシステムの実験データの有用度評価などを試みた。さらに本モニタリングシステムの実用性等を評価するために,昨年度購入したPIVシステムを活用して比較検討を行った。特に,オリフィスを含んだ管路内流れを模擬する可視化用流路を製作し,トレーサーを流した状態で脈動下における粒子の移動状況を計測,開発した流体計測モニタリングシステムと比較を実施した。その結果,流れ場を大枠として把握可能であることを確認したが,解析して得られた結果の精度に誤差が含まれる場合があり,今後の改善が必要であることを確認した。この他に,環境分析を実施するクリティカル環境内での流動場リアルタイムモニタリングシステム構築を目指して,クリティカル環境を模擬した解析モデルを選定し,シミュレーションを試みた。モニタリングシステムとして機能を実現できる可能性は確認したが,十分な精度補償などを実現するためには解析メッシュの数を増加させる必要があり,リアルタイム性の確保に課題を残した。また,この解析対象がオリフィスなどのよラに十分な圧力勾配を有する流れ場と異なり,室内の圧力差がそれほど大きくないため,温度による影響補償を組み込む必要があることも確認できた。以上の成果より,いくつかの実用例を踏まえながら数値シミュレーションを併用した流体計測モニタリングシステムの構築を行った。リアルタイム性の補償には多くの課題が抽出されたが,モニタリングシステムとしては簡便かつ有用な情報提供が実現できることを確認した。
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