研究概要 |
近年のインターネット大容量配信技術などに代表されるように,通信事業の普及やインフラ設備等の充実・低コスト化などにより,ネットワーク技術を活用した制御系が構築されるようになった.その一つに,オペレータがいる親局から,遠隔地(子局)にある制御対象を操作する遠隔制御系が挙げられる.この遠隔制御系において問題となるのは,ネットワーク上をデータが流れる際に生じる伝送遅延と損失である.また,実際の制御系を考える場合には,拘束条件の存在を無視することはできない.そこで,本研究では,データの伝送遅延や損失が生じるネットワーク環境に於いて,拘束条件を破ることなく目標値への追従制御を実現する制御法の開発に取り組んでいる. 平成19年度の研究期間では,申請書の研究計画で示した項目の内,「遠隔制御法の検証実験」および「ロバストな遠隔制御法の検証実験およびその考察・改善」をおこなった.18年度に開発した遠隔制御法を実機に適用し,奈良先端科学技術大学院大学と長岡技術科学大学間のインターネット(無線・有線LANを含む)通信路を介して,DCモータの遠隔制御実験をおこない,インターネット上で発生する遅延や損失に対して,拘束条件の達成や目標値への追従が実現されるのを確認した.この結果,開発した遠隔制御法が,実際に生じる遅延や損失に対してロバストであることを確認した.この結果は,46^(th) IEEE CDCにて発表した.また,遠隔制御法の拡張に関する基礎研究成果として,二件の国際会議発表をおこなった.雑誌論文への投稿は,平成20年度の予定である.
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