研究概要 |
本年度は、コンクリート中の水分移動を把握するために、小型のセラミック湿度センサの適用性を検討した。併せてコンクリートの一軸拘束試験を実施し、変形と水分移動現象の把握およびひび割れ発生と応力との関係を検討した。 その結果、以下のような成果が得られた。 1.本研究では,空気中の湿度を計測できるセラミックセンサを,コンクリート中に配置し,コンクリート中の相対湿度を計測することを試みた。セラミック湿度センサを埋め込んだ小型供試体を用いて、調湿試験を実施した。400日間、供試体内部湿度を計測し、雰囲気湿度との平衡状態に達した際の校正関数を求めた。試験の結果、コンクリート中でも十分に湿度の計測が可能であることが分かった。また、併せて設定した雰囲気湿度で平衡状態となったコンクリートの含水率を計測した。その結果、温度20℃一定の環境において、含水率と相対湿度の関係を求めることができた。 2.セラミックセンサをコンクリート中に配置し,クリープ試験を実施した結果,封緘状態ではクリープは進行するが,内部の湿度変化はみられなかった.一方で,乾燥状態では,内部の湿度変化を捉えることができた.また,無載荷供試体と比較して載荷供試体の方が,湿度の低下量は大きく,乾燥クリープに内部の水分移動が関与することが確認された。 3.W/C:57%がコンクリートの一軸拘束試験を実施し、雰囲気の相対湿度を50%として、変形と供試体断面内の湿度分布を検討した。その結果、乾燥開始から4日目でひび割れが生じた。コンクリート供試体内部の相対湿度は,表面から50mm,30mmの部分では100%を保っているのに対して,5mm,10mmの部分は90%程度の湿度を示した。表面近傍の急激な湿度変化に伴い大きな乾燥収縮ひずみが発生し,ひび割れが発生するという結果が得られた。
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