研究概要 |
本研究は,美しい地域づくりを目指し,日本各地の地域の持つ魅力を高め,公共空間・社会資本整備を行うために,それぞれの地域の風土に根ざした景観評価手法を提案することを目的としている.インフラストラクチャーと地域住民との関係に着目しつつ,地域が主体となった景観の創造を支援するために,以下にあげる3つの目標を設定した.1.歴史・文化などの地域の持つ個性の景観的評価,2.地域システムの発展プロセスの景観的評価,3.自主的景観形成プログラムの提案 平成19年度は,上述1.〜3.のうち,2.3.について,以下のような形で研究を行った. 2.地域システムの発展プロセスの景観的評価諸史料から,インフラストラクチャー,コミュニティ,ローカルルールを含む地域システムの発展プロセスを整理しデータベース化した.このデータベースは,前年度評価された歴史・文化などの地域性が反映された景観を形成・維持・管理してきた社会システムに関するものであり,インフラストラクチャーを基盤として,個性溢れる生活が展開されてきた対象地域の歴史に関するデータがGISを援用して蓄積された.さらに,地域住民の参画を得て,市民たち自身が自らの住まう地域システムの発展プロセスの妥当性について評価した.具体的には,地域住民とともに現在の地域景観について市民参加型デザイン・サーベイを行い,景観形成に対する自身の取り組み,コミュニティの存在意義,風土の認知などに関するアンケートを行った. 3.自主的景観形成プログラムの提案本研究では,景観形成の主体としての地域住民たち自身によって景観評価を行うことが,景観形成・改善の契機となり地域景観形成がスパイラルアップしていくことが重要であると考え,実践的な改善プログラムと一体となった景観評価手法の提案を行った.
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