研究概要 |
平成19年度は12体の実験を行った。実験変数はアラミドベルト(以下,ベルト)の初期緊張ひずみ,ベルトの補強間隔,ベルト幅のタイプ(シングル幅,ダブル幅)および主筋比である。平成18年度と平成19年度の実験結果およびこれまで行ってきた実験結果を合わせた総数44体について,応力-ひずみ関係の特性値である,強度上昇率,強度時ひずみ,圧縮強度時のベルトひずみ,降り勾配について考察を行い,応力-ひずみ関係式の提案を行った。以下に研究成果を示す。 (1)緊張アラミドベルトによる能動的な外部横拘束は圧縮強度を上昇させるが,強度上昇には上限が存在する。 (2)応力-ひずみ関係の降り勾配は,Manderらの提案した拘束効果係数にて評価できる。 (3)圧縮強度時のベルトのひずみ増分は,ノンプレストレスの場合は期待できず,プレスドレスの場合は500μを期待できる。また,ひずみ増分を期待できる最低の初期緊張ひずみを1000μとし,圧縮強度時のベルトひずみは初期緊張ひずみにひずみ増分を加えることで評価できる。 (4)崎野・孫式を修正し,精度の良いアラミド横補強コンファインドコンクリートの応力-ひずみ関係式を提案した。 本研究は基礎研究であり,得られた成果は本外部横補強法を確立する上で必要となる曲げ強度やせん断強度のより正確な評価につながる基盤的な成果であると同時に,ほとんど研究の行われていない能動的横拘束効果を実験的に明らかにし,能動および受動的横拘束効果を同時に考慮できる応力-ひずみ関係を定式化したところに本研究の知見は集約される。
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