研究概要 |
長崎県雲仙普賢岳には,1億m^3超の噴火堆積物が不安定な状態で堆積している.本研究は,堆積した噴石をコンクリート用骨材に有効利用するため,その材料特性について実験を行い検討した.噴石(以下骨材)はデイサイトであり,赤黒の2色がある.骨材露出仕上げを施し,構造材料・景観材料として利用するため,産地そのまま,赤,黒の3種類の色別の特性について,普通骨材に小江原産の砕石を選定し比較した.普賢岳骨材は,普通骨材の絶乾密度,吸水率の品質規格を外れる.普通粗骨材の平均粒度分布に従って調整し,普通骨材を用いたコンクリート(以下普通コンクリート)の設計と同様に調合を実施した.細骨材には壱岐産の砂を使用し,強度試験用に円柱供試体および建築用コンクリートブロックを作製し,圧縮,割裂引張試験を実施した. F_c42N/mm^2の強度を有する普賢岳骨材を用いたコンクリート(以下普賢岳コンクリート)を作製できた.圧縮強度の10%程度の変動により調合設計可能である.普通コンクリートと同様,普賢岳コンクリートの圧縮強度と密度の関係は正の相関にあった.密度に実験値を考慮し,かつ骨材を表す係数を考慮することにより,ヤング係数を高い精度で評価できた.同等の圧縮強度の普賢岳コンクリートは普通コンクリートに比して,約7%軽く,7〜19%引張強度が低く,約2割ヤング係数が小さい. コンクリートブロックは,断面形状を空洞,外部形状を基本形,寸法を標準鞭ブロック390mm×190mm×l00mmとした.普賢岳骨材の寸法を2.5-5.0mmとし,調合はC種を参考にした.C種は全断面に対する圧縮強度8N/mm^2以上を必要とする.打込みから加熱積算温度4,000度時を経過した時点で,気間状態,2時間吸水を行った状態,それぞれ3体ずつ圧縮試験ならびに吸水率試験を実施した.いずれの状態においても,圧縮強度は建築用コンクリートブロックに求められる下限値を上回り,吸水率は範囲内となり,必要な性能を満たすことができた.
|