研究概要 |
近年、酸化物にはない高い共有結合性を活かした窒化物蛍光体が注目されている。しかし、窒化物蛍光体と青色LEDからなる白色LEDは高寿命環境低負荷の照明材料として期待されているものの、赤色発光蛍光体(Ca-αSialon:Eu^<2+>,CaSiAlN_3:Eu^<2+>等)の温度特性や発光効率(吸収効率×量子効率)が不十分であるという問題がある。そこで、申請者は各種原子が原子レベルで均一に混合されている"ゼオライト"に着目し、これを出発原料とした発光中心元素の局所周辺環境が制御された窒化物蛍光体の開発を行った。具体的には、サイアロン蛍光体を作製し、その特性評価を行った。その結果、ゼオライトに発光中心元素をイオン交換した原料を窒化すると蛍光体が作製できるが、発光中心元素酸化物(Eu_2O_3)をゼオライトと混合したものは窒化しても蛍光体にならないことが明らかになった。以上のプロセスを核磁気共鳴法やX線吸収法により解析し、発効中心元素がサイアロン結晶に固溶する過程を調査した。また、本研究では高エネルギー放射光X線に着目し、回折データ(61.7keV:Wavelength=0.20A, Q_<max>=25)より実空間のサブナノメータースケール(〜10A)の構造変化を明らかにした。その結果、窒化初期の非晶質のネットワーク構造は小さいリング構造が最終生成物である結晶ほど生成しておらず、窒化とともに秩序化することが明らかになった。
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