研究概要 |
・打出し装置の改良 昨年度に試作した打出し装置の改良を行った。インクジェットノズルの支持部および輸液装置の構造および材質を検討しながら試作を繰返した。その結果,軽量コンパクトでありながら簡単にノズルを交換可能で,4種類の液体を輸液可能なノズル支持部を開発できた。使用する液体の種類によっては頻繁にノズルが詰まることがあるため,ノズルを容易に交換可能なことは実験を行う上で有利である。また輸液ライン内への液体の充填や除去の際に加圧や減圧を行う関係上,輸液ラインの着脱部には十分な密封性能を持たせた。さらに,輸液ラインの材料はテフロンもしくはPEEK樹脂とし,輸液ライン中の液体に影響を与えないようになっている。輸液ラインとノズルの支持部は分離可能で,必要ならば輸液ラインのみを交換可能である。ノズルや輸液ラインなど,液体と直接接触する部分が容易に交換可能であることは,生体材料などの高度に清潔な管理が要求される材料を取り扱う際に必要不可欠となる。 ・3次元ゲル構造の試作およびその観察 PVA(Poly Vinyl Alcohol)を用いて基材の粘度を調整し、その中に3次元ゲル構造を構築する方法は昨年度に確立した。本年度は最適なPVA濃度について検討した。検討は3次元のチューブ構造を試作し,その長さや微細構造の観察により行った。良好な結果が得られたのは15〜20%のPVA濃度の基材を用いた場合であった。最適なPVA濃度が得られたことにより,より多様な3次元ゲル構造の構築に成功した。特にチューブ状構造に関しては,血管などと類似の層構造を持つものなどを構築できた。また,一辺が10mm程度の多色積層構造などの構築にも成功した。 異なる波長の光源により励起される複数の蛍光インクをそれぞれ混入した液体で構造を構築することで,比較的大きな3次元ゲル構造中の多色の微細構造を色ごとに個別に観察することも可能となった。
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