研究課題/領域番号 |
18760529
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
構造・機能材料
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
萩原 幸司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (10346182)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2007年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2006年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | シリサイド / 複相合金 / 高温強度 / 熱的安定性 / 偏析 / 格子ミスフィット / TEM / モアレフリンジ / 変形機構 / 室温靭性 / 単結晶 / 転位 / 複相結晶 / ラメラ組織 |
研究概要 |
昨年度の研究により明らかにした、適切な組織制御により引き出される複相結晶の優れた力学特性を損なうことなく、高温材料として必要不可欠な組織の熱的安定性を向上させる方策として、本年度は微視的観点からの複相組織ラメラ界面の構造制御に取り組んだ。得られた結果は以下のとおりである。 1.遷移金属シリサイドの格子定数評価より、通常の擬二元型複相結晶においては、いずれの相の組み合わせにおいても界面ミスフィットの完全消失は不可能であることを実験等により確認した。そこでこれに代わる手法として、第三元素添加によるラメラ界面への偏析を利用した複相界面構造制御の可能性を検討した。この結果、第三元素としてCrを母合金(Mo_<0.15>Nb_<0.85>)Si_2に対し1%添加するだけで、界面の熱的安定性は飛躍的に向上することを見出した。具体的に、無添加材では1400℃・1週間の焼鈍において、組織の粗大化、平滑なラメラ界面の崩壊が生じ始めるのに対し、Cr添加材においては、同温度にて2週間の焼鈍においてもラメラ組織が安定に維持されることを実証した。 2.走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いた原子レベル組成分析を行い、この結果、添加されたCr原子がC11_b/C40界面上の幅約数nmの領域に局所的に偏析していることの直接観察に成功した。この界面でのCr偏析濃度は、母相中に対し約5倍もの高い値を示した。一方、C11_b/C11_b同相界面上ではCrの偏析は確認されなかった。 3.TEMを用いたモアレフリンジ解析により、ラメラ界面上での局所ミスフィットひずみは、Cr添加材中では無添加材に比べ約20%も低減していることが確認された。 以上のように、複相ラメラ界面の熱的安定性向上には、適切な第三元素の添加による局所ミスフィットの低減が極めて有効な手法となることを明らかにし、本研究により、シリサイド複相材実用化に向け必要不可欠な、広室温力学特性、熱的安定性といった合金特性の改善策に対する、非常に有益な指針を示すことができた。
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