研究概要 |
本研究課題においては,以下の研究を行うことにより,地下岩体中のき裂進展挙動の封圧依存性の評価と,き裂内流体の流れと物質拡散を考慮した花闘岩のき裂内物質拡散挙動の数値シミュレーションコードの構築を行うことを目的とする. 平成18年度は,地下岩体中のき裂進展挙動の封圧依存性の実験的評価および地下岩体におけるき裂内物質拡散モデルの構築に関する基礎的検討を行った.き裂進展挙動の封圧依存性に関しては,これまでの研究においては封圧の増加に伴う破壊形態のMode IからMode IIへの遷移がどのような応力状態で生じるのか未解明であったため,本研究においては,岩石を模擬した硬化樹脂材料による三軸圧縮破壊試験を行い,き裂進展挙動の観察結果から,封圧増加に伴う破壊形態の遷移の状態を観察することに成功した.今後の応力解析により,遷移条件について更なる検討を行う予定である. 一方,き裂内流体の流れと物質拡散を考慮したき裂内物質流動/拡散挙動の数値シミュレーションコードの開発においては,非整数階微分方程式による物質拡散挙動のモデルの開発を行うことにより,超長期き裂内流動解析の数値モデルに関する基礎的知見を得た.従来の研究においては,Fickの法則を用いた単一き裂内の流動解析が簡易モデルとして用いられてきたが,き裂内の流動と物質拡散はき裂の複雑性に起因して従来のモデルでは検証が困難であった.本研究においては,フラクタル性を考慮したき裂ネットワーク内の物質移流/拡散を,非整数階の微分方程式を用いた解析モデルを用いて解析することにより,より現実の流体移動を再現できる基礎モデルの開発に成功した.今後,実フィールドとの整合性について検討を行い,放射性物質の拡散やCO_2地中貯留におけるCO_2拡散挙動への応用展開も行う予定である.
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