研究概要 |
工場等からの余剰排熱を蓄熱する技術は,省エネルギーに大きく貢献することができる.当グループでこれまでに検討を進めてきたMgO/H_2O系ケミカルヒートポンプシステムは,蓄熱操作には350℃程度の熱エネルギーを要し,300℃以下の蓄熱には適さない.平成19年度の研究では300℃以下で脱水が可能な新たな蓄熱材として金属塩添加水酸化マグネシウムを調製し,その脱水・水和挙動を検討した.試料(LiCl/Mg(OH)_2)は,水酸化マグネシウムスラリーに所定割合で金属塩溶解し,蒸発乾固法によって調製した.試料と水蒸気との反応性は熱天秤中に水蒸気(57.8kPa,窒素バランス)を流通し,重量変化を測定することによって評価した. LiCl/Mg(OH)_2は,LiCl担持量の増大とともにMg(OH)_2の脱水温度が低下し,目標とする温度域で脱水することを確認した.化学蓄熱への適用を目的として7wt%-LiCl/Mg(OH)_2に対して,脱水反応(300℃,30分排気)→水和反応(110℃)を6回繰り返した結果,それぞれの反応における転化率の低下は観察されず,繰返し耐久性があることを確認した.また,DSC測定によりMg(OH)_2の脱水反応熱はLiCl担持量に依存せずほぼ一定であった. これは,Mg(OH)_2表面に担持されたLiClが,Mg(OH)_2の脱水・水和反応を促進していることを示している.
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