研究課題/領域番号 |
18770029
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物生理・分子
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
水澤 直樹 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (80342856)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2006年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | 植物生理 / シアノバクテリア / 光合成 / 光化学系II / 酸素発生 / Mnクラスター / 脂質 / 配位子 |
研究概要 |
形質転換が容易で、酸素発生型光合成をおこなうシアノバクテリアSynechocystis6803株を用いて以下の研究をおこなった。 1.光化学系IIの構造と機能についての解析 光誘起差FTIR差スペクトル等の物理化学的手法を用いて酸素発生触媒中心Mnクラスターの構造を解析するために、無傷な光化学系II(PSII)複合体を高度に精製する方法を確立した。まずPSIIの構成蛋白質の1つであるCP47蛋白質C末端にヒスチジンタグを変異導入し、ニッケルカラムを用いてPSIIを粗精製した。次に、これをグリセロール密度勾配遠心で二量体と単量体のPSIIに分離することに成功した。二量体は単量体に比べ高い酸素発生活性を示すことからFTIRの解析に適する高活性型PSIIであることがわかった。 2.光化学系IIに結合する脂質の機能についての解析 昨年度に引き続き光化学系IIの構成脂質の1つであるジガラクトシルジアシルグリセロール(DGDG)の酸素発生反応における機能を解析した。これまでDGDG合成欠損変異株は、弱光下では野生株と増殖する速度が同じであり、DGDGの生理的意義が不明であった。今年度、強光下で変異株のみが特異的に増殖が抑制され最終的には白化することを見出した。蛋白質合成阻害剤存在下で細胞を強光処理すると、野生株に比べ、変異株で有意に酸素発生の光失活が速く進行することから、変異株ではMnクラスターが不安定化しており光処理により解離しやすいことが示唆された。また蛋白質合成阻害剤を加えない場合、野生株と変異株間で光失活速度の差がさらに大きくなることから、変異株ではPSII複合体の修復機能にも異常があることがわかった。以上の結果から、SynechocystisにおいてDGDGはMnクラスターの安定化と円滑なPSIIの修復に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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