研究概要 |
本年度は、主に次の2項目に関して研究を行った。 1.2次元マルチスポット蛍光顕微鏡の改良 昨年度は、紫外半導体レーザー(405nm、5mW)を用いてフォトコンバージョンを起こしたが、回折格子を用いてマルチスポットを形成させると、スポット1つあたりのレーザーパワーが弱すぎて変化しないため、今年度は、より出力が高い青色DPSSレーザー(473nm,50mW)を用いて実験を行った。また、レーザーの波長の変更に伴って、蛍光たんぱく質をKikGRから、より長波長に吸収ピークを持つDendora2に変更した。HeLa細胞の膜に比較的長時間滞在できる膜たんぱく質にDendora2を結合させ、40倍の対物レンズを用いてフォトコンバージョンを起こしたところ、数十秒で100×100の多点で一度にフォトコンバージョンを起こさせることが可能となった。これをCCDカメラで撮像し、これらの点の移動を解析することにより細胞の変形・移動を定量的に測定できるようになった。 2.3次元フォトコンバージョン顕微鏡の開発 3次元フォトコンバージョン顕微鏡の試作を行い基礎実験を行った。赤外フェムト秒レーザー光(パルス幅100fs、波長800nm、出力600mW)を対物レンズ(60X,NA1.2)でサンプルに強く絞って照射することにより、その部分だけ2光子過程によってフォトコンバージョンを起こさせた。このレーザー波長に最適な蛍光たんぱく質を探索したところKikGRが一番変換効率が高いことがわかった。ただし、2光子過程でのフォトコンバージョン効率は、1光子過程に比べて極めて低く、多点では、フォトコンバージョンを起こさせることは困難であった。そのため3次元では、ガルバノミラーでサンプルのある面でスポットを移動させフォトコンバージョンを起こし、さらにZ方向にサンプルを移動させて同様なこと繰り返し行う方法が最適であることがわかった。
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