研究概要 |
本研究は,藍藻ボスホリブロキナーゼ(PRK)の反応機構ならびに活性調節機構をX線構造解析によって解明することを目的とし,以下の実験を行った。 藍藻Synecococcus由来PRKの大量培養・精製系を構築した。精製手順は、藍藻PRKを大量に生産した大腸菌を破砕し,硫安分画,Niアフィニティークロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィーで精製を行った。その後、動的溶液光散乱法装置(DLS)を用いて,溶液状態でのサンプルの結晶化能を確認した。続いて、His-tagドメインを有した酵素を用いて、結晶化を行った。恒温インキュベータ(20℃と4℃)で、種々の結晶化条件の検討を行ったところ、PEG3350を沈殿剤として用いた条件で、0.2x0.2x0.2mm程度のX線回折実験に適した大きさの単結晶を作成することに初めて成功した。しかし、大型放射光施設Spring-8にてX線回折実験を行ったところ回折能3.8Å程度と、構造解析には不十分であった。次に,ThrombinによってHis-tagドメインを切断し、さらに、PRKの本体をゲル濾過クロマトグラフィーにより精製した。その後、結晶化を行ったところ,0.05mm程度の単結晶を作成することに成功したが、大きさが不十分であり、構造解析可能な回折データが得られなかった。次に、PRKの活性調節因子であるCP12タンパク1質の精製系の構築にとりくんだ。PRKとCP12の結合をpull-downassayにて確認したが、結晶が得られなかった。続いて、CP12タンパク質のPRK結合ペプチドを合成し、PRKとCP12の結合をpull-down assayにて確認し、その後結晶化を行ったところ、0.05mm程度の単結晶を作成することができた。現在、結晶の改善を目指し、PRKとCP12ペプチド複合体の結晶化を行っている。
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