研究課題/領域番号 |
18770136
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物物理学
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
上久保 裕生 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 准教授 (20311128)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2007年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2006年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | クラスリン被覆小胞輸送 / X線溶液散乱 / マルチドメイン蛋白質 / ドメイン配置構造 / クラスリン被服小胞 / X線散乱測定 / 構造解析 |
研究概要 |
本研究では,ゴルジ体において積み荷蛋白質を認識し選別しているマルチドメイン蛋白質(GGA)に注目しその機能解明を目的として、X線溶液散乱測定法を用い、ドメイン配置構造や相互作用蛋白質結合時のドメイン配置構造変化を解析したきた。ドメイン間や、マルチドメイン-相互作用蛋白質間の相互作用は一般に弱く、解離定数は数M〜数100MM程度の値を示す。このような弱い相互作用で関連づけられた複合体の溶液構造を解析するために、新たに滴定X線溶液散乱測定法を考案してきた。その結果、GGA1蛋白質に低分子量G蛋白質が結合することによって、ドメイン配置構造に変化が生じ、各ドメインの露出表面が変化することを明らかにしてきた。この形態変化から、ドメイン配置構造変化によって、標的蛋白質との親和性が、調節されていることが示唆された。実際、このドメイン再配置によって、他のドメインの相互作用蛋白質(積み荷蛋白質受容体)に対する結合親和性に変化が見られることが、滴定X線溶液散乱によって明らかにされた。これは、ドメイン再配置を介した、標的蛋白質結合調節機構を直接推測した最初の研究結果である。 更に、GGAの他のホモログについても同様に、ドメイン配置構造を解析した結果、GGA1が溶液中で単量体として存在しているのに対し、GGA3は、GGA1単量体構造を基本構造単位とした2量体として存在していることが明らかとなった。更に、低分子量G蛋白質存在下での溶液構造を解析したところ、GGA3の2量体は解離し、GGA1・低分子量G蛋白質複合体と同様の形態を示すことが明らかとなった。これまでの報告によると、GGA1とGGA3は、非常に類似したドメインからなるにもかかわらず、輸送に対する役割が異なっていることが示唆されている。特に、GGA1は、単独でクラスリン被覆小胞輸送するのではなく、他のアダプター蛋白質と共役して初めて被覆小胞を輸送できるようになる可能性が示唆されている。現在は、会合体型性能の違いが、単独でのクラスリン被覆小胞形成能に関与しているのではないかと考え、引き続き研究を進めている。
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