研究課題
若手研究(B)
ミオシンはATP加水分解の化学エネルギーを力学エネルギーに変換し、アクチン上を一方向に運動する。この運動の内部はATPaseと共役したナノメートルサイズのステップであり、自然のナノマシンの動作原理の解明は、緻密にプログラムされたATP加水分解と力発生の関係を読み解くことである。従来のミオシン研究の多くは運動の詳細な計測に注力したが(むろん多くの情報が蓄積されたが)動作原理の解明には至っていない。本研究は「ミオシンの力学エネルギーを逆流させて、ADPとリン酸の脱水縮合反応(ATPの合成)に挑戦」する。ナノメートルサイズのミオシンの運動を、サブナノメートル精度のピエゾ制御ステージと音響光学偏向器(以下AOD)制御のレーザートラップで後方に牽引し、生成した極少数のATP分子をフェムトリッターチャンバー法で検出する。研究開始初年度の達成目標は、ミオシンを牽引するためのフィードバック制御プログラムの作成と、リニアモーター計測に最適な形状のフェムトチャンバーの作製である。現在までに、ポジションセンサーから検出したミオシンの位置信号をUSB経由でPCに転送し、ソフトウェアベースでピエゾステージ・AODへ帰還信号を与えることに成功している。今後、この回路の性能を最大限に引き出すために、位置検出光学系をBFP法に改良する予定である。また、野路研究室の榊原らとの共同実験により、親水性皮膜を施したPDMS製フェムトチャンバーの作製にも成功している。
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Proc. SPIE "Nanoscale Imaging, Spectroscopy, Sensing and Actuation for Biomedical Applications IV" 6447-12
Biochem Biophys Res Commun. 343
ページ: 1159-1164