研究課題
若手研究(B)
ファイトプラズマ(Phytoplasma asteris)は、700種以上の植物に病害を引き起こす植物病原細菌である。研究代表者らにより、P.asterisOY弱毒株(OY-M)の全ゲノムが決定されているが(Oshima, et. al.,Nature Genet.,2004)、ファイトプラズマのゲノムには、他の植物病原細菌で知られている病原性遺伝子が見出されず、その病原性発現メカニズムは未だに謎に包まれている。今年度は、強毒株のゲノム解析を進め、OY-Mとの比較ゲノム解析により病原性とゲノム構造との関連性を調べた。OY-Mのゲノムにコードされる全754個のORFのうち、約30%はゲノム中に複数コピー存在するパラログ遺伝子である。このパラログ遺伝子群はDNAの複製・修復・組換えに関する遺伝子が多く、その多くが他の細菌ゲノムには1コピーしか存在しない遺伝子であった。今回、パラログ遺伝子群の1つであるtransposaseをコードする遺伝子、「tra5]に着目して解析を行ったところ、OY-Mゲノムにある各tra5上流の遺伝子構成には共通性が認められたことから、tra5を含むゲノミックアイランドの存在が示唆された。また、強毒株OY-Wよりクローン化した約6kbpの断片をOY-Mゲノムと比較したところ、tra5遺伝子の下流約300bpにおいて顕著な相同性の差異が認められ、この付近でDNAの組換えが起こったことが示唆された。これらの結果から、ゲノミックアイランドがゲノムの遺伝子重複に大きく関わっているとともに、ファイトプラズマの多様な病原性を生み出す要因の1つであると考えられた(Arashida, et. al.,DNA Cell Biol.,2008)。
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