研究課題/領域番号 |
18780046
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物栄養学・土壌学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 優 京都大学, 農学研究科, 准教授 (60281101)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2007年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2006年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | ホウ素 / 細胞壁 / ストレス / 細胞死 / ペクチン / ラムノガラクツロナンII / 酸化障害 / 活性酸素 / 植物 / 遺伝子 |
研究概要 |
植物の微量必須元素であるホウ素の欠乏による障害発生メカニズムを解明するため、タバコ培養細胞BY-2株のホウ素欠除に対する応答について研究した。 前年度までの研究で、ホウ素欠乏細胞では酸化障害が発生しネクロティックな細胞死が誘導されることを明らかにした。19年度は酸化障害が発生するメカニズムについてより詳細に解析を行なった。抗酸化剤添加の効果について検討したところ、アスコルビン酸やカタラーゼでは変化が見られなかったが、脂溶性抗酸化物質であるブチルヒドロキシアニソール、トコフェロールは細胞死を顕著に抑制した。このことはホウ素欠乏で発生する酸化障害の主な作用点が生体膜であることを示唆する。 ホウ素欠除処理細胞のスーパーオキシドディスムターゼ、カタラーゼ、アスコルビン酸ペルオキシダーゼ活性を測定したが対照細胞に比べて有意な低下は見られなかった。またグルタチオン含量も低下しなかった。一方処理後12時間におけるアスコルビン酸含量は対照細胞に比べおよそ20%低かった。処理後3時間の時点でホウ素を再添加した細胞のアスコルビン酸含量は、12時間までに対照細胞と同レベルまで回復した。これらの結果からホウ素欠乏時の酸化障害はアスコルビン酸含量の低下を介しておこると結論した。抗酸化酵素活性に著しい変化が見られなかったことは、欠除処理に伴って発生する活性酸素種は比較的低濃度であることを示唆する。一過的に高濃度の活性酸素種に曝された場合はプログラム細胞死が起こることが知られているが、ホウ素欠乏による細胞死はネクロティックであり、このことも持続的だが低濃度の活性酸素種生成という推論を支持するものと考える。 現在、ホウ素欠乏で活性酸素種が発生する機作を明らかにするため、原形質膜の伸展活性化カルシウムチャネルを経由したカルシウム流入と、それに続く活性酸素生成について検討中である。
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