研究課題
若手研究(B)
タンパク質貯蔵液胞への種子貯蔵タンパク質の輸送機構の全貌を分子レベルで解明する一環として、種子細胞を用いて選別輸送シグナルを解析するシステムを構築し、ダイズ種子貯蔵タンパク質の主要構成成分であるコングリシニンにはC末端型と配列特異型、グリシニンにはC末端型と高次構造型に属する選別輸送シグナルが存在することを明らかにしている。一方、アラビドプシスを用いた解析から、Vacuolar sorting receptor (VSR)とReceptor homology region transmembrane domain ring H2 protein (RMR)と呼ばれる2種類の膜タンパク質がタンパク質貯蔵液胞への選別輸送シグナルに対するレセプターの候補として考えられている。本研究では、ダイズ種子貯蔵タンパク質の3種類の選別輸送シグナルがどのレセプターに認識されるのかを解析するとともに、レセプターの立体構造解析を試みた。レセプター候補分子(ダイズVSRおよびRMR)をダイズ登熟期種子よりクローニングし、それらの内腔領域の組換え型タンパク質を昆虫細胞発現系で調製した。グルタチオンSepharose 4Bを利用したプルダウンアッセイ法および表面プラズモン共鳴法を用いて、選別輸送シグナルとダイズVSRおよびRMRとの相互作用を解析し、C末端型シグナルとダイズVSRとの間に高い親和性があることを明らかにした。さらに、X線結晶構造解析により両者の結合様式を解明するために、組み換え型ダイズVSRの結晶化条件を検索したところ、ポリエチレングリコールを沈殿剤とする条件下において結晶を得ることに成功した。さらに、放射光施設において8-10Å程度の分解能のデータを取得した。VSRの立体構造を決定するために、より良質な結晶化条件の探索を進めている。
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