研究課題
若手研究(B)
新規着床因子を同定するために、trophoblast stem cell (TS cell)とTS cell を分化させたgiant cellを用いたスクリーニングを行ない、解析を行ってきた。その中で、マイクロアレイスクリーニングでGiant細胞での発現が高かったmRASに注目した解析を行ってきたが、その間に遺伝子欠損マウスが別の研究室から報告されて、特に着床に異常がないことが明らかとなった。また、並行してin silicoの解析も行っていたところ、胎盤の合胞体栄養膜細胞で特異的に発現しているsyncytinに注目した。このタンパク質は、ウィルスのエンベロプタンパクと相同性が高く、培養細胞の系において、栄養膜細胞の融合能を持つことが明らかとなっているものの、その詳細なメカニズムについては未だ明らかとなっていなかった。そこで、詳細な融合メカニズムを解明するために、syncytinのfurin領域を欠損させた変異体とfurin領域に変異を入れた組換えたんぱく質を293T細胞において発現誘導させたところ、融合能がなくなることを明らかにした。このことにより、furin領域が融合に重要であることが明らかとなった。さらに、syncytinのshRNA発現レンチウィルスベクターを作成し、syncytin発現293T細胞においてshRNAを発現誘導させたところ、発現の低下とともに、融合能が抑制されることが明らかとなった。このことから、合胞体栄養膜細胞の融合に、syncytinが重要な役割を担っていることが示された。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (2件)
Cell Signaling 19(3)
ページ: 519-527
Nature Biotechnology 25(2)
ページ: 233-237