研究課題
若手研究(B)
本研究ではゼブラフィッシュ、キンギョ、メダカをモデルとし、始原生殖細胞(PGCs)の数と性の分化の方向性を明らかとするために生殖細胞欠損個体やPGCsの数を様々に変化させた生殖系列キメラ個体を作出し、その性を調べた。生殖細胞欠損個体はそれぞれの魚種のdnd遺伝子を発現抑制することにより作出した。1.ゼブラフィッシュでは生殖細胞の欠損個体さらに数個のPGCsを移植したキメラ個体は全て雄となり、通常の数(約30個)〜倍の数のキメラでは雄も雌も現れた。このことから始原生殖細胞の数に依存した生殖細胞量的な性分化機構のあることが示された。2.キンギョの生殖細胞欠損個体では、組織学的解析により卵巣腔構造を持つ雌とシスト構造を持つ雄個体がほぼ一対一の割合で出現し、性分化の方向性は生殖系列の体細胞により決定されていると考えられた。このことはゼブラフィッシュとは異なり、生殖細胞の有無に関わらず体細胞依存的に性分化の方向が決定されると考えられた。3.メダカの生殖細胞欠損個体では、外部形態の性別判定では遺伝的雌の雄化が認められたが、組織学的解析では遺伝的雄と雌の間で明瞭な形態的相違は認められなかった。以上の結果、ゼブラフィッシュではPGCsの数が、キンギョでは生殖系列の体細胞が生殖腺の性分化の方向性に関与することが明らかとなった。このように生殖腺の性の分化の方向性を決定する細胞因子は魚種により異なることが示された。
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