研究課題/領域番号 |
18780159
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
水産化学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡邊 龍一 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教 (70400306)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2007年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2006年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 麻痺性貝毒 / 麻痺性貝毒結合タンパク質 / トロポミオシン / 麻痺性貝毒結合アフィニティーゲル / サキシトキシン結合タンパク質 / 麻痺製貝毒 / 毒結合アフィニティーゲル / 二枚貝における毒の動態 / 毒の組織分布 |
研究概要 |
本年度は、前年度において、麻痺性貝毒結合タンパク質候補として特定したトロポミオシンについて、実際に組織から精製し、毒への親和性を検証した。ホタテガイ外套膜から等電点沈殿や各種クロマトグラフィー等により、アイソフォーム混合物として得たトロポミオシンを使って、アフィニティーゲル上に結合させた毒への親和性を調べた結果、100mMNaClで溶出し、確かにゲルへの吸着を検出した。一方、毒を蓄積しない閉殻筋から精製したものは、吸着しなかった。また、トリプシン消化後のマスフラグメントとCD測定による二次構造の比較では、ともに両組織から精製したタンパク質に明確な違いはなかった。なお、毒の11位を介して結合させたSTX結合アフィニティーゲルに、ホタテガイ外套膜抽出液を供したところ、トロポミオシンも含めて、選択的な濃縮は検出されなかった。 これまで、ホタテガイにおける毒の組織分布や種間での毒蓄積能の違いなど、その原因は不明であった。本研究により、どの組織にも普遍的に存在しているトロポミオシンが毒に親和性を示し、かつその親和性が組織間で異なることを見いだし、ホタテガイ組織における毒の組織分布に関わっている可能性を提示した。また、アフィニティーゲル上の毒との相互作用は弱く、特に、11位を含むC環部側を認識した。 リガンドに毒の多様性を反映させるため、dcGTX2/3の13位にカルボン酸を導入した新規誘導体(HS・dcGTX2/3)を高収率で調製し、NMRによって、その構造を確認した。本誘導体をゲルへ導入することはできたが、実用には反応条件の改善が必要であった。 以上から、毒結合アフィニティーゲルを使い、麻痺性貝毒結合タンパク質を探索する研究手法の有用性と方向性の正しさを示すことができた。今後は、特定したタンパク質の毒親和性の評価系の開発が重要な課題となる。
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