研究概要 |
市場構造上,他の欧州諸国に比べて,外資が参入しやすい立地条件にあるドイツのレンダリング産業では,北部の州や地域を中心に,多国籍企業化が進展している。畜産副産物の処理・販売を主業務とする多国籍アグリビジネス企業SARIAの経営実態が明らかにされた。また,ドイツにおける牛由来肉骨粉の肥料利用の実態について,北部の州においても,2008年8月より肉骨粉の肥料利用が解禁されていることがわかった。しかし,有畜農家での利用は許可されていない。連邦制のドイツでは,州や地域により畜産副産物の利用範囲が異なっているものと考えられる。多国籍企業化に伴い,ドイツのレンダリング産業では工場の大規模化が進んでいる。EUおよび国内の畜産副産物規則に対応すべく構造再編が行われてきたわけであるが,これは我が国にとって非常に示唆的な動向である。欧州の教訓から学ぶとともに,我が国産業の産業特性に起因する合理化の阻害要因を丁寧に見極めることが今後重要となろう。
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