サゴヤシリグノセルロース物理化学的特性の解析について、本年度新たに入手したフィリピンおよびパプアニューギニア産試料を用いた解析を行い、種だけでなく生息地における糖鎖構成比に特徴があることが明らかとなった。これらの結果から、サゴヤシは地球上で最も豊富な糖鎖資源を産する資源作物であることが明らかとなった。 糖鎖資源の利用として、セルロース及びヘミセルロースの解析を行おうとしたところ、予想した以上に細胞壁に澱粉が抽出できないことが明らかとなった。そこで、細胞壁成分のセルラーゼ酵素糖化の前にアミラーゼ系酵素を組み合わせて完全抽出ができるかを検討したところ、ほぼできることが分かった。また、それを利用して酵母培養に供したところ、十分エタノールが算出することが分かった。詳細に発酵環境について検討したところ、従来よりも1/50以上減らした窒素源環境下でもそん色なくアルコールが得られる条件が分かった。 濃度の異なる硫酸を用いたサゴ残差の抽出を検討したところ、硫酸濃度によりヘミセルロースとセルロースを分別できる可能性が示唆された。 上記に伴い、当初計画にあったリグノセルロースの修飾及び物性測定に関しては、現段階で十分な結果が得られていない。 国外で「サゴ」と呼ばれる植物として蘇鉄があることがわかり、奄美大島に赴いてソテツの植生調査及びサンプル採取を行った。この結果、有用な糖鎖資源といて活用できる可能性が見出された。
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