研究課題/領域番号 |
18780250
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用分子細胞生物学
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
柴田 進和 金沢大学, 医学系研究科, 助教 (40372487)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2007年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2006年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | X染色体不活性化 / エピジェネティックス / ヒストンメチル化 / アンチセンス遺伝子 / Xist / Eed / ポリコーム / クロマチン / Tsix |
研究概要 |
TsixによるヒストンH3リジン27残基のトリメチル化(H3K27m3)抑制の生物学的な役割を明らかにするために、EedノックアウトES細胞を用いてTsix遺伝子トラップを行いX染色体不活性化に与える影響を調べた。TsixとEedのダブルミュータント雄マウスES細胞では、ES細胞の分化誘導に伴ってXist遺伝子の異常な転写活性化が認められた。TsixあるいはEed単独の変異雄ES細胞ではこのようなXist遺伝子転写活性化は起きないことから、アンチセンス遺伝子Tsixとポリコーム蛋白質Eedが協調的に働いてXist遺伝子の異常な転写活性化を抑制していることが分かった。 一般的にEedを含むポリコーム複合体2(PRC2)によるH3K27m3修飾は、Hox遺伝子など発生時期特異的に発現する遺伝子の異所性発現抑制に寄与していることが知られている。Xist遺伝子も雌細胞の不活化X染色体で分化に伴って発現する発生時期特異的遺伝子と考えることができる。今回の我々の結果はアンチセンス遺伝子Tsixの転写がヒストン修飾を妨げてクロマチン構造の変化を抑制し、分化誘導時にXist転写をONにもOFFにも出来る状態を維持するように働いていることを示している。一方でEedは非特異的な転写因子によるXist遺伝子の異所性発現を抑制しているものと考えられた。興味深いことに雌ES細胞ではXist遺伝子プロモータがH3K27m3修飾を受けていてもXist遺伝子の転写誘導が起きることが報告されている。つまりH3K27m3修飾は生理的な遺伝子活性化を妨げず非特異的な異所性発現のみを抑制していると考えられ、これを実現する分子メカニズムの解明が待たれる。
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