研究課題
若手研究(B)
ファイトプラズマは宿主細胞内に生息し細胞壁を持たないことから、その膜タンパク質は宿主との相互作用に重要な役割を果たすと考えられる。ファイトプラズマの菌体表面はほぼ単一のタンパク質によって覆われていると考えられており、そのタンパク質は主要抗原膜タンパク質(IDP)と呼ばれる。ファイトプラズマの種により、それぞれ固有のタンパク質がIDPとして知られており、Ca. Phytoplasma asteris, OY strain (OY) (AY 16S-group)ではAmp, Ca. P. pruni (WX 16S-group)ではIdp, Ca. P. mali (AP 16S-group)ではIMPがそれぞれIDPとして報告され、これらは互いにホモログではない。OY弱毒株(OY-M)の全ゲノム解読により,ampに加え加impオーソログも発見された。そこで、まずOY-MのIMPに対する抗体を作出し、ウェスタンブロット解析を行ったところ、OY-M感染植物内におけるIMPの発現が確認されたが、その蓄積量は極めて低く、Ampと比較すると30分の1ほどの蓄積量しか認められなかった。また、OY-Mに近縁な数種ファイトプラズマよりimpオーソログをクローニングしたところ、上記以外のファイトプラズマにおいてもimp遺伝子が保存されていることが確認された。さらに、amp遺伝子と同様、imp遺伝子はその周辺遺伝子と比べると著しく配列相同性が低く多様性に富んでいること、またいくつかのimp遺伝子は積極的に多様化していることが観察された。このことは表面膜タンパク質が宿主昆虫の因子に合わせて多様化することを示唆しており、ファイトプラズマの昆虫媒介能についての重要な知見を得ることができた。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)
DNA and Cell Biology (In press)掲載確定
Molecular Plant Pathology (in press)