研究概要 |
ロジウム(2)錯体を用いるカルボニルイリドと求双極子剤との不斉1,3-双極付加環化反応を機軸とする生物活性天然物の触媒的不斉合成を検討し、本年度は以下の成果を得た。 1.分子内の適当な位置にホルミル基を組み込んだα-ジアゾ-β-ケトエステルをカルボニルイリド前駆体、フェニルアセチレンおよびスチレン誘導体を求双極子剤とする分子間不斉1,3-双極付加環化反応において、Rh_2(S-TCPTTL)_4を触媒として用いると極めて高い不斉収率が得られることを見出した。得られた付加環化生成物から数工程の変換を経て、テイレキシ(Descurainia sophiaの種子)の成分であるデスクライニンの触媒的不斉合成を達成した。 2.α-ジアゾケトンをカルボニルイリド前駆体、電子求引基が置換した芳香族アルデヒドを求双極子剤とする分子間不斉1,3-双極付加環化反応において、Rh_2(S-BPTV)_4を用いると極めて高いエキソ選択性かつ90%以上の高い不斉収率で付加環化生成物が得られることを見出した。得られた環化体から数工程の変換を経て、抗Helicobacter pylori活性をもつ(-)-psoracorylifol BおよびCの触媒的不斉合成を達成した。 3.分子内の適当な位置にインドールを組み込んだα-ジアゾ-β-ケトエステルを調製し、イミドカルボニルイリドとインドールとの分子内不斉1,3-双極付加環化反応を行ったところ、Rh_2(S-TCPTTL)_4を用いると付加環化生成物が完璧なエンド選択性かつ最高65%の不斉収率で得られることが分かった。本法で得られた環化生成物から生物活性多環式複素環化合物であるvindolineへの変換を検討している。
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