研究概要 |
トリアルキルガリウムと塩化ガリウムを脱プロトン化試薬として用い、生じた有機ガリウム化合物に特徴的な反応性を利用する新しいC-C結合形成反応を検討した。 塩化ガリウムが1,4-エンイン3位メチレンおよび1-シリルアセチレンプロパルギル位のC-H結合を脱プロトン化し、触媒的にエチニル化できることがわかっている。より酸性度の低いアリル位C-H結合の塩化ガリウムによる脱プロトン化を検討し、1,4-ジエンおよび1,3-ジエンを直接的エチニル化する反応を開発した。塩化ガリウム(2.0eq.)、t-ブチルジフェニルシラノール(2.0eq.)およびt-ブチル-4-メチルピリジン(2.0eq.)存在下、1,2,3,4,5-ペンタメチルシクロペンタジエンとクロロトリイソプロピルシリルアセチレン(4eq.)を170℃で6時間作用させるとエチニルシクロペンタジエンを与えた。塩化ガリウムによる脱プロトン化はシリル基を有する1,4-ジエンアリル位C-H結合でも進行し、3位選択的にエチニル化できることも見出した。本反応ではかさ高いシリル基を有する1,4-ジエンおよびクロロシリルアセチレンを用い、塩化ガリウムによる基質の分解を抑制することが重要である。塩化ガリウムを用いることで、従来は多段階法で合成されていたポリエチニルビニルメタン化合物を効率的に合成できることを示した。1,5-ビス(シリルビニル)-2,4-ペンタジエンの反応では低収率ながらシリル基を損なうことなく3-エチニル化および3,3-ジエチニル化物を与えた。ルイス酸である塩化ガリウムによってアリルシランアリル位C-H結合を脱プロトン化できることを示しており、塩化ガリウムの脱プロトン化試薬としての有用性を示す結果といえる。
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