研究概要 |
これまでに,蛍光ラベル化したカリックスアレーンライブラリーを構築し,オリゴペプチドに応答する化学センサーを見出している.この蛍光ラベル化したカリックスアレーンをスライドガラス基盤に固定化し,ゲストの結合によって基盤上でもスペクトル変化が確認できれば,DNAマイクロアレイのように多種類同時分析が可能となる.今回,基盤に固定化するために新たに設計したカリックスアレーンの合成法とゲストの結合による蛍光スペクトルの変化について検討した.カリックスアレーンのフェノール性水酸基側を修飾したホストでは,蛍光変化が鋭敏では無かったため,カリックス[4]アレーンのupper rim側を修飾したホストの合成を行った。まず,約20段階かけてカリックス[4]アレーンのupper rimを2種の異なる官能基(Boc基,Alloc基)で修飾した誘導体を合成した。まずは,消光剤と蛍光剤の組合せ,および距離が適切であるかを確認するために,Boc基を除去して消光剤であるダブシル基を導入した後,Alloc基を脱保護してダンシル基を導入したモデル化合物を合成した。モデル化合物はほとんど蛍光を示さず,ダンシル基由来の蛍光スペクトルは観測されなかった事から,蛍光剤と消光剤の距離は適切であること,組合せにも問題ないことが解った。現在,ペプチドを順次結合させたホストを合成し,リガンドライブラリーの中からホストと結合するリガンドを探索中である。
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