研究概要 |
本研究の目的は,(1)Ca^<2+>活性化K^+チャネルを介した神経,心筋細胞保護作用の分子機構,(2)Ca^<2+>活性化K^+チャネル開口薬による神経,心筋細胞保護を明らかにすることであった。(1)については,18年度の研究成果を発展させ,Ca^<2+>活性化K^+チャネルの活性化により惹起される細胞内Ca^<2+>流入経路の分子基盤の同定に成功し,「Ca^<2+>活性化K^+チャネルのMAKキナーゼ経路,カスパーゼ経路への影響」についても研究成果が得られた(Yamazaki, et. al.,2007)。また,松果体細胞におけるCa^<2+>活性化K^+チャネルのCa^<2+>オシレーション発生への寄与について,Ca^<2+>イメージング解析により明らかにした(第111回日本薬理学会近畿部会にて発表)。最近では,扁桃体神経細胞においてアンドロゲン枯渇によりCa^<2+>活性化K^+チャネル発現,活性が顕著に減少することを明らかにした(第85回日本生理学会大会にて発表)。(2)については,Ca^<2+>活性化K^+チャネルβ1サブユニットの変異体を作成し,β1サブユニット選択的新規Ca^<2+>活性化K^+チャネル開口薬DiBAC4(3)の認識部位に第2膜貫通ドメインのいくつかのアミノ酸が関与することを明らかにした(日本薬学会第128年会にて発表)。また,Ca^<2+>活性化K^+チャネル開口薬ジクロロデヒドロアビエチン酸がミトコンドリア呼吸,容積,Ca^<2+>過負荷を改善することを明らかにした(投稿中)。ミトコンドリアCa^<2+>活性化K^+チャネルの分子実体については,候補分子の同定を含めて一定の研究成果が得られたものの,再構築系での更なる研究成果の蓄積が必要である。
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