研究概要 |
本研究では,fad104欠損マウスを樹立し,fad104の生体内における機能を検討し,肥満および糖尿病との関連を明らかにすることを目的とした。昨年度の検討により,fad104ホモ欠損マウスは出生直後に死亡することを明らかにした。また,fad104ヘテロ欠損マウスと野生型マウスを用いた検討から,fad104が脂肪組織の形成に重要であること,さらにインスリンに対する感受性を負に制御する機能を有する可能性を見い出した。今年度は,fad104の機能をより詳細に検討することを自的として,fad104ノックアウトマウスから調製したMEF細胞を用いて,脂肪細胞分化過程における機能について検討した。その結果,fad104欠損MEFは,野生型のMEFに比べて,細胞の増殖能が低下すること,さらに,ストレスファイバーの形成が阻害されることを明らかにした。また,fad104が,細胞移動,細胞接着にも重要な役割を担うことも明らかにした。これらの検討により,fad104は,細胞骨格の変化,細胞の移動能,細胞増殖能を制御することにより,脂肪細胞分化,出生直後の生存に大きく寄与する可能性が示唆された。
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