研究課題
若手研究(B)
炎症性サイトカイン刺激により誘導されるIIA型分泌性ホスホリパーゼA2(sPLA2-IIA)の発現を調節する脂質性因子(Lipid X)の精製および性状解析を行った。12/15-リポキシゲナーゼを過剰発現させたラット線維芽細胞3Y1より総脂質を抽出後、1ipid X活性を有するボスファチジルコリン(Pc)画分を順相カラムにより精製し、さらに逆相HPLCにより分離した後、各フラクションの1ipid X活性を測定した。その結果、sPLA2-1工A発現を誘導する1ipid Xは少なくとも3種存在することが明らかとなった。このlipid Xはリポキシゲナーゼにより酸化修飾を受けた脂肪酸を構造に有する可能性があることから、この水酸基を化学修飾後の各フラクションの活性を測定した。その結果、アセチル化により活性が上昇する画分(A)、変化を受けない画分(B)、活性が低下する画分(C)が存在することが明らかとなった。従って、逆相HPLCにより分離された3種の1ipid Xは、構造的に異なる分子であり、側鎖の脂肪酸に水酸基を有するPc様の分子種(A)(C)とその他の酸化修飾を有するPC様分子種(B)であることが明らかとなった。さらに、アセチル基より構造的にかさ高いベンゾイル基を導入した場合、(A)および(C)の画分は活性が低下し、(B)の画分は活性の変化はなかった。これらの結果から、各修飾により'lipid Xと受容体との親和性'や'1ipid Xの安定性'に変化が生じていると考えられた。Lipid Xは、Pc様の分子であることから、PAF受容体を介している可能性を考え、2種のPAFアンタゴニストおよびアゴニストを用いて1ipid XによるsPLA2-IIA誘導に対する効果を検討した結果、1ipid Xは、PAF受容体とは異なるCV-6209感受性の受容体を介して作用しているものと考えられた。現在、化学修飾を用いた構造決定および受容体の同定することを目指している。
すべて 2008 2007 2006
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (18件)
Lifestyle-Related Diseases, Springer社
ページ: 143-146
J. Biol. Chem. 282
ページ: 20124-20132