研究課題/領域番号 |
18790124
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医療系薬学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
渡邊 博志 熊本大, 薬学部, 講師 (70398220)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2007年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2006年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | イマチニブ / P-糖蛋白質 / 分子マーカー / 慢性骨髄性白血病 |
研究概要 |
慢性骨髄性白血病株K562細胞のIM耐性(K562-IM)細胞を樹立し、さらにIM耐性獲得CML患者の骨髄単核球を用いて、標的細胞内濃度の規定因子の一つと考えられるP-gp, BCRP及びOCT1のIM耐性獲得への寄与について検討した。K562/IMはIM感受性K562細胞(親株)に比べ45倍のIM耐性を示した。また、K562/IMはP-gp及びBCRPを過剰発現していたが、OCT1に発現亢進は観察されなかった。K562/IM細胞内のIM濃度をHPLCにより定量したところ、親株に比べ有意に低下していたことから、P-gpあるいはBCRPによるIM排泄亢進が推察された。P-gp阻害剤(CyA)及びBCRP阻害剤(FTC)を用いて、K562/IMにおけるIM感受性並びに細胞内IM濃度の改善効果について検討したところCsAのみが有意な効果を示した。また、K562/VCR及びK562/BCRPにおいても同様の検討を加えたところ、K562/VCRではCsA添加により有意な改善効果が認められたが、K562/BCRPではFTC添加による改善効果は観察されなかった。すなわち、P-gpがIMの細胞外排泄の主要な役割を担っていることが強く示唆された。一方、OCT1阻害剤であるamantadineを用いた阻害実験より、OCT1によるIMの細胞内への輸送機能はK562/IMと親株との間で有意差は観察されなかった。さらに、IM耐性獲得前後のCML患者の骨髄単核球におけるP-gp mRNA発現量について検討したところ、IM耐性獲得後に有意なP-gp mRNAの増加が観察された。以上の結果より、P-gpの発現増大に伴う標的CML細胞内IM濃度の低下がIM耐性に強く関与することが示唆された。P-gpはIMによる治療効果及び耐性獲得における有用な分子マーカーになり得る可能性を示した。
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