研究課題
若手研究(B)
カテプシンDは代表的なリソソームプロテアーゼであり、種々の神経変性疾患への関与が指摘され、神経細胞においてカテプシンDは非特異的分解酵素という役割以外に、非常に重要な機能を有していることが考えられる。カテプシンD欠損マウスは、神経細胞内に特有のリソソームが蓄積し、神経性セロイドリポフスチン蓄積症(NCL)と類似した症状を呈して生後26日で死に至る。本研究課題では成体脳におけるカテプシンDの役割を解明することを目的とし、本年度は中枢神経系特異的なカテプシンD欠損マウスの作製と、その解析を行った。中枢神経特異的カテプシンD欠損マウスはメンデルの法則に従って誕生した。生後約15日頃までは野生型と同様に体重の増加が認められ、その後、目立った増減がなく生後約40日前後でNCL同様の症状を呈して死亡した。同マウスの神経細胞ではカテプシンDの遺伝子発現がないにもかかわらず、カテプシンDタンパクを有していることが分かった。このことより、カテプシンDが血液脳関門を通過する経路、あるいは、ミクログリアを介する経路で、神経細胞に入っていることが予想される。リソソーム病には酵素補充療法による治療が知られているが、中枢神経系には血液脳関門の存在により効果的な成績を得られていない。今回の知見は、リソソーム病の治療において酵素補充療法への応用が期待出来る所見であり、同マウスがその研究モデルになることを示している。
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