研究概要 |
ステロイドホルモン受容体(SR)を介した転写調節において,エピジェネティックな制御機構やnucleosomeのremodelingなど多数の因子が関わり合う調節機構が時空間的にどのように制御されているのかを解明する目的で,転写調節部位を可視化できる系の樹立を試みた。Lac operator配列のタンデムリピートの近傍に,SR依存的なpromoterであるMMTV-LTRにDHFR遺伝子をつないだ人工染色体コンストラクトを作成した。このコンストラクトをCHO細胞に導入し,G418薬剤耐性の細胞株を選択した。これらの細胞株にDHFR阻害剤methotrexateを徐々に濃度を上げて培地に添加し,高濃度methotrexate耐性の細胞株を取得した。この細胞株は自然発生的にMMTV-DHFRが増幅された細胞と考えられたので,実際に増幅されているかをMMTVに対するFISHで確認した。この細胞に蛍光タンパク(FP)を融合したSR,転写共役因子およびヒストン(バリアント)を発現させ,ホルモン添加に伴いFP融合SRが挿入遺伝子に多数存在するpromoter上の結合配列に結合し,蛍光の集積として転写の現場を可視化することが可能となった。この系を用いて,アンドロゲンレセプター,エストロゲンレセプター,プロゲステロンレセプター,転写共役因子(SAFB-1/2),核マトリックスタンパクの核内でのダイナミクスを解析した。
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